ガーデンセラピーって何?五感で癒される庭のつくり方

庭に出て花や緑にふれると、気持ちがすっと軽くなる——そんな感覚をお持ちの人は多いはずです。

その心地よさを暮らしの健康づくりに活かす考え方が「ガーデンセラピー」です。

私たちのもとにも、高齢のご家族の介護予防や子どもの情操を意識した庭のご相談が増えています。

結論からお伝えすると、ガーデンセラピーとは、庭のある暮らしを通じて心と体の健康を育む自然療法の総称です。

一般社団法人日本ガーデンセラピー協会は、芳香療法・園芸療法・芸術療法・森林療法・食事療法の5つを柱と定義しています。

この記事でわかること

  • ガーデンセラピーの定義と、園芸療法との違い
  • コルチゾール低下など、出典付きの健康効果
  • 視覚・嗅覚・触覚・聴覚・味覚、五感別の植栽の選び方
  • 高齢のご家族や子どもと楽しむ庭の工夫と、プロに頼める範囲

ガーデンセラピーとは何でしょうか?

ガーデンセラピーとは、住まいに植物を取り入れ、日常的にさまざまなかたちで自然と接することにより、健康な暮らしと健康寿命の増進を実現する療法です。

5つの療法はどれも家庭で実践できます

朝にハーブの香りをかぐ、育てた野菜を食卓に出す、といった行動そのものが実践になります。

日本ガーデンセラピー協会にはエクステリア業界の企業も参画しており、住宅の庭での実践が広がっています。

園芸療法との違い

園芸療法は、植物を育てる活動そのものを治療やリハビリに役立てる手法を指します。

日本では2008年に日本園芸療法学会が設立され、医療・福祉・教育の現場で実践が広がってきました。

ガーデンセラピーは、この園芸療法を含む5つの療法をまとめた、より広い暮らしの概念です。

庭の緑にはどんな健康効果があるのでしょうか?

自然の緑には、森林での生理実験で確認されたストレス軽減や自律神経の安定といった効果があります。

庭は、その森林の癒しを毎日の暮らしの中で手軽に得られる場になります。

ストレスホルモンが数値で下がる

千葉大学の研究チームによる生理実験では、森林の風景を眺めた人のコルチゾール濃度が13.4%低下しました。

森林の中を歩いた場合の低下幅は15.8%で、いずれも森林セラピーソサエティが公表している実験データです。

同ソサエティの資料では、森林環境で交感神経の活動が抑えられ、副交感神経の活動が高まることも確認されています。

高齢者ケアの現場でも効果の報告があります

公益財団法人長寿科学振興財団の情報サイト「健康長寿ネット」でも、園芸療法の効果が紹介されています。

認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD)の軽減や、血圧の安定といった報告です。

また厚生労働省の公表値では健康寿命と平均寿命の差が男性で約9年・女性で約12年あり、この差を縮める日常の工夫が注目されています。

五感で癒される庭はどう設計するのでしょうか?

五感で癒される庭は、視覚・嗅覚・触覚・聴覚・味覚のそれぞれに働きかける主役を1つずつ置く設計が基本です。

五感別・癒しの植栽選びマップ 視覚 モミジ アジサイ 季節の彩りで 目を休める 嗅覚 ラベンダー ローズマリー 香りで気分を 切り替える 触覚 ラムズイヤー コケ やわらかな 手ざわりに安らぐ 聴覚 ススキ 水鉢の水音 葉ずれの音で 心を静める 味覚 ブルーベリー ミント 収穫して 味わう喜び 五感のどれか1つから始める植栽選びが、続けやすい進め方です
図2: 五感別・癒しの植栽選びマップ

感覚ごとの植栽アイデア

視覚: モミジアジサイで季節の彩りをつくり、ヒューケラのカラーリーフで足元に変化を出します

※モミジ

嗅覚: ラベンダーローズマリーを通路沿いに植え、ふれるたびに香りが立つ配置にします

※ラベンダー

触覚: ラムズイヤーの綿毛のような葉やコケの質感を、手の届く高さに置きます

※ラムズイヤー

聴覚: ススキの葉ずれや水鉢の水音で、静かな音の風景をつくります

※ススキ

味覚: ブルーベリーミントなど、収穫して味わえる植物を1本まぜます

※ブルーベリー

ポイントは、欲張らずに「1つの感覚に1つの主役」を決めることです。

高齢のご家族に優しいセラピーガーデンの工夫とは?

高齢のご家族には、かがまずに作業できるレイズドベッドと、つまずかない動線づくりが効果的です。

レイズドベッド(高さのある花壇)

レイズドベッドは、立ったまま、または車いすに座ったまま土にふれられる高さのある花壇です。

高さ70センチ前後を目安にすると、腰への負担を抑えながら植え替えや収穫を楽しめるでしょう。

転ばない動線と、座って休める場所

園路は段差をなくし、水が溜まらず、滑りにくい素材を選ぶと安心です。

動線の途中にベンチと日陰を設けると、休憩を挟みながら無理なく庭を回れます。

現場からのひとこと: 花壇の高さを変えるだけで庭に出る回数が増えた、というお声が印象に残っています。

真夏は体温に迫る暑さになる日もあり、日中の庭作業には熱中症の危険があります。

高齢のご家族の作業は朝夕の涼しい時間帯にとどめ、水分補給と日陰での休憩を挟むやり方がおすすめです。

子どもと楽しむガーデンセラピーの取り入れ方とは?

子どもには、収穫体験と生き物観察という「結果が目に見える楽しみ」を用意すると長続きします。

収穫できる植物の選び方

ブルーベリーやミニトマトは、植え付けから収穫までの変化が分かりやすく、食育にもつながります。

自分で摘んだ実をその場で味わう体験は、子どもにとって何よりのごほうびになるでしょう。

生き物がやってくる庭にする

アゲハチョウが来る柑橘類や、実を鳥が食べに来る木を1本植えると、庭が小さな観察の場になります。

夏の庭で子どもと過ごすときの注意点は、子どもとペットの夏の庭の安全対策の記事で詳しく解説しています。

小さな庭やベランダでも始められるのでしょうか?

始められます。ガーデンセラピーは庭の広さよりも、植物にふれる時間を毎日つくれるかどうかが大切です。

プランター1つで担える五感

プランター1つでハーブを育てるだけでも、香り・手ざわり・味覚の3つを楽しめます。

小さな水鉢にメダカを泳がせると、水音と生き物の動きが加わり、癒しの要素がぐっと増えますね。

ベランダで始める3ステップ

  • 朝日が当たる場所にプランターを1つ置きます
  • ローズマリーやミントなど、丈夫なハーブを1株植えます
  • 水やりのたびに葉にふれて、香りを楽しみます

セラピー向きの植物は?

夏の暑さと乾燥に強い植物を選ぶと管理が楽になります。

蒸し暑い夏に強いおすすめの植物

ローズマリー・ラベンダー(グロッソ系): 乾燥に強く、香りの主役になります

※ローズマリー

アベリア: 初夏から秋まで咲き続け、チョウも呼び込みます

ギボウシ: 半日陰の彩りに向き、葉の質感の違いも楽しめます

ススキ・ラビットアイ系ブルーベリー: 暑さに強く、音と味覚を担当します

強い西日が当たる場所の対策は、エアコン効率を上げる庭の照り返し対策の記事が参考になります。

けいはんな記念公園は五感の見本帳です

精華町のけいはんな記念公園は、公式案内で総面積24.1ヘクタールと紹介されている京都府立の公園です。

回遊式日本庭園「水景園」と里山「芽ぶきの森」があり、水音・木漏れ日・葉の香りを一度に体感できます。

公園の公式案内では、巨石約500個を150メートルにわたり据えた水景園の「巨石の回廊」も紹介されています。

セラピーガーデンづくりはプロに何を頼めるのでしょうか?

造園会社には、五感を意識した庭の設計から植栽の選定、完成後の維持管理までを一括で任せられます。

  • 設計: 動線・レイズドベッド・ベンチの配置など、使う人に合わせた庭の計画
  • 植栽: 日当たりと土質に合う樹木・宿根草・ハーブの選定と植え付け
  • 改修: 段差の解消や滑りにくい舗装など、今ある庭のバリアフリー化
  • 維持管理: 剪定・除草・施肥など、季節ごとのお手入れの代行

剪定や植栽を含む庭づくり全般は、造園・剪定サービスのページをご覧ください。

夏の手入れで迷いやすい点は、夏剪定でやっていいこと・ダメなことの記事にまとめています。

費用は庭の広さや工事の内容で変わるため、現地調査のうえ無料でお見積りをお出ししています。

よくある質問

ガーデンセラピーと園芸療法はどう違うのですか?

園芸療法は、植物を育てる活動そのものを治療的に使う手法です。

ガーデンセラピーは、園芸療法に芳香療法や森林療法などを加えた5つの療法の総称です。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会がこの定義を示しています。

ガーデンセラピーの効果に科学的な根拠はありますか?

千葉大学の生理実験では、森林の風景を眺めた人のコルチゾール濃度が13.4%低下したと報告されています。

健康長寿ネットでも、園芸療法による認知症高齢者の行動・心理症状の軽減や、血圧の安定が紹介されています。

手入れが大変で、逆にストレスになりませんか?

管理の手間が少ない宿根草や低木を中心に、無理のない広さから始める設計が有効です。

剪定や除草など負担の大きい作業は、造園業者に任せて分担するやり方もあります。

初心者はどんな植物から始めるのがおすすめですか?

香りのローズマリーやラベンダー、手ざわりのラムズイヤー、収穫を楽しめるブルーベリーが定番です。

五感のどれか1つに効く丈夫な植物を、1〜2種から始めると続けやすいでしょう。

高齢の親のために、今ある庭を改修できますか?

できます。立ったまま作業できるレイズドベッドへの変更や、段差の解消・滑りにくい園路への舗装替えが代表的です。ご両親の好きなものだけ残し、負担を減らす「庭じまい」のお手伝いもさせていただけます。

セラピーガーデンの費用はどのくらいかかりますか?

庭の広さや植栽の内容、レイズドベッドの有無などで大きく変わります。

私たちはお見積り無料で、ご予算に合わせた段階的なプランをご提案しています。

まとめ

ガーデンセラピーは、庭のある暮らしで五感を刺激し、心身の健康を育む自然療法の総称です。

コルチゾールの低下など研究に裏づけられた効果があり、家庭の庭でも十分に実践できます。

ガーデンセラピーの取り入れ方まとめ
項目 内容 ポイント
定義 5つの療法で心身を育む総称 日本ガーデンセラピー協会が提唱しています
効果 コルチゾール低下・自律神経の安定 千葉大学の生理実験などで確認されています
五感の植栽 感覚別に主役を1つずつ配置 ローズマリーは香り・触覚・味覚を兼ねます
高齢のご家族 レイズドベッドと段差のない動線 高さ70センチ前後が作業しやすい目安です
子ども 収穫体験と生き物観察 ブルーベリーや柑橘類が活躍します
始め方 プランター1つからでも可 小さく始めて庭全体へ広げます

「うちの庭でもできるのか知りたい」という段階のご相談も歓迎です。写真を拝見するところから、お客様の暮らしに合う癒しの庭を一緒に考えます。

ガーデンセラピーのご相談は、今の庭やベランダの写真を送るところから始められます。

庭全体の様子や日当たり、気になる場所の写真を送ると、植栽や改修のご提案がしやすくなります。

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